スカイ・クロラ

初日。観に行きました。だらだら続く原作に、妙に説教くさい「スッキリ・クロラ」の存在というのが気になっていたのですが、そのまんまでした。映画なので、「これで終わった」みたいな印象はあって欲しいのですが、だんだんと「どういう終わらせ方をするのか」と不安な気持ちに。そしてとうとう押井節でこの世界における戦争の意味について滔々と語り出されると不安はピークに。そういう説明っぽいのは頭の方に持ってきませんか。この作品についてはパブリシティが今までに無く多いような印象があるのですが、その理由がわかりました。説明セりフは少なく、考えながら観ないと間延びした印象しか残らないような気もします。
ただ、歳もとらなきゃ主体性もあやふやな主人公を持ってきて2時間で「観たなあ」と感じさせる話にまとめるのはとても難しいのではないかと思うのです。原作からして、どうやったら終わらせられるのか見えていないような感じですし。その意味でああいう終わらせ方にまとめたのはやむを得ないというか、無理やり「終わった」ということにさせられたような。
とうとうバセットはでずっぱり。草薙水素ガイノイド素子みたい。服を脱ぎ出した時は自分の胸を引き開くんじゃないかと思いましたよ(だいぶ嘘)。空戦シーンは美しい。1カットだけCGでない背景を使ったものがあったような記憶があるんですが、今となってはちょっとあやふや。
で、これも確実だと思うんですが、DVDが出たらエースコンバットとコンポジットしたMADが出て来ると思います。

たとえ永遠の生を生きることになっても昨日と今日は違うのだ、と映画では言う。昨日と今日は違うのだから、明日は今日とは違う。違うというところにいくばくかの希望、あるいは愉しみ、なんらかの期待がある。でも、実際には永遠に若いまま生きている人なんていない。人は自ら変化することを避け得ない。自らの変化、あるいは自らが身を置く場の変化に無自覚な人はいるだろうと思う。もしかしたらその事実をつきつけるのは残酷なことかもしれないが、ただ、その残酷さは平等に与えられていることでもある。

DVDが出るのを愉しみにしているんですが、目当てはオーディオコメンタリー。作画に労力がかかっているのが素人でも何となく解る出来栄えで、例えば笹倉がバセットを「よっこらしょ」っと肩に担ぐカットとか、カンナミとミズキがバセットとじゃれながら滑走路に出てくる全身ショットのカットとか、細かいところだと、キャノピ越しに見える背景を歪ませていたりとか、斜面に群集をまばらに配置してカメラを回り込ませるときに、ちゃんとレンダリングモデルを使っているのだけど、ちょっと手抜きしていて、群集の絵は平面のままだから、一瞬だけ立て看板が並んでいるように見えてしまっていたりとか、草薙水素がなんか草薙素子っぽくなってしまうところとか、たぶん例によってぼそぼそと語ってくれるだろうなあと。