例外処理を取り込まないコンピューターシステムは

画一された利用者を想定しなければ成立しない。システムは利用者とコンピューターの組み合わせによって構成されており、利用者モデルは永遠に確定されることがないが故にコンピューターシステムが完成されることはない(だからIT企業の飯のタネは尽きない。十分に喰っていけるかどうかは別として)。もし、グーグルが例外処理をシステムに取り込まないことを目指しながらも、誰もが使う標準ツールのポジションを目指しているのだとしたら、それは利用者をグーグルに適応させることを目指していることを意味している。つまり、ユーザーの家畜化である。でも、それは別にグーグルに限らないし、ネットの「アチラ側」に特有の事情というわけでもない。
アドセンスについて言えば、グーグルにしてみれば広告の置き場所なんて幾らでも手に入る、空気みたいなものであって、特定のページに何の価値も見出してはいないだろう。アドセンスというシステムの問題は広告の置き場所(看板)が常に供給過剰側に倒れることであって(広告主からの支払い総額は無限ではない)、システム的には「看板の刈り込み」をしようとするはずである(さもなければ、看板の単価は際限なく低下していくことになり、看板主の興味を失ってしまう)。その際に刈り込むのは「テール」ということになるだろう。
コンピューターだけでシステムは完結しないし(利用者のリアルな状況も含んではじめてシステムは完結する)、優秀な技術者集団であるグーグルがそのことに気づいていないとは考えにくい。もし、本当に気づいておらず、システムの補完をスーツ組に任せているのだとしたら、その体制そのものがグーグルのアキレス腱になるだろう。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060422/p2